横浜駅みなみ西口より徒歩6分 横浜市西区の弁護士

遺言遺留分Q1

A1,遺言と遺産分割協議の優先関係という問題です。
原則としては、遺言者の最期の意思を尊重するという遺言制度の趣旨から、遺言が遺産分割協議に優先することになります。
この原則により、遺言がある場合は、通常は遺言をベースとした相続が行われます。
他方で、相続人全員(場合によっては相続人以外の受遺者も含める)の合意があれば、遺言の内容と異なる遺産分割協議を行うことができます。民法では、遺贈を受けた人がそれを放棄することを認めています。そうであれば、同様に、遺言により利益を得た(得をした)人が、その利益を放棄する自由意思を認めるべきであるという考え方です。
ただし、遺言には、遺言執行者も決められていることがあります。遺言執行者は、遺言どおりの適正な相続を行う責任があります。したがって、原則として、遺言執行者は、相続人全員の合意に基づく遺産分割協議が、遺言の内容と異なれば、それを否定し遺言の内容通りの相続を執行することができます。
しかし、民法は遺留分という遺言の修正を認めていますし、遺言の内容通りの相続を執行しても、その後に相続人間で譲渡することは自由です。そうであれば、遺言執行者も、相続人の自由意思を尊重すべきことになります。
したがって、遺言と異なる遺産分割協議については、遺言執行者の同意や追認があれば、有効となります。相続人全員の確実な同意を確認できれば、通常、遺言執行者は、その遺産分割協議を同意あるいは追認することが多いと思われます。相続人の一人が遺言執行者に指定されている場合は、問題とならないでしょう。
遺言執行者の同意・追認がされない場合、その遺産分割協議が有効か否かは争いがあります。現状としては、遺言執行者も含めた遺産分割協議や調停を行い、同意・追認を得ることを目指すことになります。

PAGETOP