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遺産分割Q1

A1 ,遺言がない場合に、遺産に自宅として使用していた土地家屋あるいはマンションを誰が相続するのかという問題です。
その自宅に相続人の一人が住んでいて今後も居住したい場合、相続人が自宅を相続し、その他の遺産を相続人間で公平になるように相続するのが一番簡単な方法です。自宅に住んでいる相続人には、いわゆる居住権がありますから、特殊な事情がない限り、希望すれば自宅を優先的に相続して居住を続けることができます。問題のない例として、
・遺産として3000万円の自宅と4000万円の預金があった場合、自宅に住む相続人Aが自宅と預金500万円を相続し、相続人Bが預金3500万円を相続する(現物分割)。
・遺産として3000万円の自宅のみの場合、自宅に住む相続人Aが自宅を相続し、相続人Bに対し相続人Aの預金から2000万円の代償金を支払う(代償分割)。

それでは、②の例で、相続人Aに預金2000万円もの預金がなかった場合は、どうすれば良いのでしょうか。
どうしても自宅に住み続けたい、あるいは親からの自宅を遺したい場合、もし自宅の敷地が広い場合、敷地の一部を売却して他の相続人への代償金に宛てるという方法も考えられます。当事務所も、約80坪の自宅敷地のうち、約30坪を売却して代償金を捻出した事案を扱ったことがあります(道路に面した四角い売却用地を確保するため、自宅家屋の一部を撤去する工事も必要でした)。あるいは、敷地を2分割して、自宅建物が建っていない方の土地を他の相続人に相続してもらうという方法も可能であれば検討しても良いでしょう。

このような方法が採れない場合、自宅持分は相続人で共有とした上で(③共有分割)、相続人間で協議して、自宅に住んでいる相続人が引き続き自宅に住み続けることの合意を目指すことになるでしょう。

ただし、共有分割は、共有者全員において自宅を自由に処分できなくなりますし、場合によっては共有物分割請求が可能で、問題を将来(子の世代)に先送りにするに過ぎず、できれば避けるべきです。

共有分割+合意という方法が採れない場合、最終的には自宅を売却して、その売却代金をそれぞれ相続するということになります(④換価分割)。

以上のような問題を避けるためにも、あらかじめ、遺産となる自宅を、居住している相続人に相続させる旨の遺言を作成しておくことは非常に良いことです。

【配偶者居住権】
なお、民法改正により、2020年4月から、配偶者居住権という制度が創設されました。
配偶者居住権は、被相続人の配偶者に優先的に自宅の使用権限(処分権限はなし)を認め、自宅を相続しなくても、低廉な価格で自宅に住み続けられるようにした制度です。
例えば、遺産として3000万円の自宅しかなかった場合、相続人である配偶者(親)と子で合意ができなければ、自宅を換価分割するしかないかもしれません。あるいは、自宅の他に3000万円の預金があっても、配偶者が自宅を、子が預金を相続すると、配偶者は預金を相続できず、今後の生活資金に困るかもしれません。
このような場合に、例えば遺産が3000万円の自宅と3000万円の預金だとして、配偶者居住権を1000万円と評価し、配偶者が配偶者居住権(1000万円)と2000万円の預金を、子が配偶者居住権付き自宅(2000万円)と預金1000万円を相続させるのが配偶者居住権の効果です。これにより、配偶者は自宅に住み続けながら2000万円の生活資金を確保することができます。
配偶者居住権の存続期間は、基本的には配偶者の死亡までですが、その他の取り決めも可能です。また、配偶者居住権の金額評価は、今後の実務の積み重ねが待たれるところです。
配偶者居住権の成立要件は、①配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物を自宅として居住していたこと、②配偶者居住権についての遺産分割の合意があること、あるいは被相続人により遺贈などがなされていることです。
遺言によって配偶者居住権を遺すことができますから、場合によってはそのような遺言を遺しておくのも良いかもしれません(もちろん、自宅それ自体を遺すことの方が良いこともあります)。
遺産分割協議で配偶者居住権の合意を得られなかった場合、遺産分割調停や審判により配偶者居住権の取得を目指すことになります。家庭裁判所は、配偶者の生活を維持するためには特に必要があると認めれば、他の相続人が合意していなくても、配偶者居住権を認めるとされています。
なお、配偶者居住権は、第三者からも明らかとなるよう登記されます。

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